藤本 結局、大手メディアが報じていた「10月3日解散」はなかった。「冒頭解散」と言っていたメディアは、結果的としてことごとく外したことになりましたね。
 上杉 実は、一般紙やテレビ局の政治部記者の中にはボクらと同じ情報筋から「冒頭解散なし」と聞いていた人はいる。なのに各社政治部はその報告に聞く耳を持たず、その記者を取材前線から外したりもしているんです。その結果の報道が「10月26日総選挙」→「11月2日」と続き、そして解散があるとされた3日には再び「11月2日先送り」「白紙」と、どの社も訂正しない。横並び、軌道修正しない日本のメディアの「ジャーナリズム崩壊」の典型を見るようです。
 藤本 各社選挙態勢ですでに準備を始め、選挙日へ向けてアルバイトを雇ったり、取材態勢を整えるためにコストがかかるのもあるのだろう。
 上杉 特にテレビ局は選挙特番でキャスターや解説者をキャスティングし、スポンサーもつけているから、選挙日が変わったのは自らの誤報ではなく麻生首相や米国の金融不安のせいにしたいというのが本音でもある。
 藤本 しかし、麻生首相の総裁就任時の演説、国連演説、所信表明などを聞けば「支持率が高いうちに早期解散」のような後ろ向きの意識じゃないのはわかること。なのに古賀誠選対委員長が自分の保身のために麻生政権発足前から「10月26日総選挙」で突っ走り、解散権を奪って、飾りだけの首相にしようとミニ政局を仕掛けた。察知した麻生首相は「なんでよこしまな発想しかできないんだ」と大激怒したんです。
 上杉 仮にこれが福田前首相だったら冒頭解散していたと思う。政治信条も力もない人だから。でも麻生首相は曲がりなりにも信条があるし、小泉・安倍・福田の3首相の間近で首相権限の強大さを知悉している。小泉氏以前は実質的に解散は党幹事長が決めていたのは確かだが、以降は首相の専権事項という法的に当然の状態に戻ったのもわかっている。

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