「NHKの首領 海老沢勝二」(文藝春秋)で、NHKと政治の距離が日本の問題だ。驕りを捨てて、NHKは自ら再生せよ、と『文藝春秋』に書いてから16年が経過した。
当時のNHKからの圧力はとてつもないもの、今の比ではなかった。なにしろ自民党政権全盛期、経営だけではなく、組合も記者たちも全体が敵になった。そしてNHKを無条件に信頼していたほとんどの日本国民も。
文藝春秋取材チームは素晴らしかった。木俣正剛編集長、鈴木洋司副編集長、武藤旬担当で文藝春秋編集部が一丸となったのもいまは昔、ジャーナリズムの精神が残っていた最後の時代だ。
いま、立花孝志という人物によって、当時始めたNHK改革の扉が完全に開かれようとしている。
当時の立花さんは、NHK幹部の経理担当、換言すれば、会長側近の裏金作り班の中核のひとりだった。ワシントン支局、スポーツ放映権、国会予算、いたるところで不正が常態化していた。
当然ながら上杉隆は「敵の大将」、上杉潰しに加担せざるをえなかっただろう。だが、私もそうだが、立花さんはNHKを愛していた。なによりも、そして誰よりもNHKを愛していた。誠実な男なのだ。
だからこそ、大好きなNHKのために、家庭を捨てて、生活を捨てて、人生を捨てて、厳しい道を歩み出したのだ。
「メディアが腐ると国が滅ぶ」
New York Times時代、世界中の取材によって、わたしはそのことを痛感した。記者クラブに代表される日本のメディアシステムは、じき国を滅ぼすだろう。そして、そのシステムの頂点には古巣NHKが君臨している。NHK改革こそメディア改革、いや日本の改革になる。わたしはそう信じて、NHK取材を繰り返し、記事を世に出していった。
メディア改革における協力者は意外なところから現れた。
竹中平蔵さん、孫正義さん、小泉純一郎さん、石原慎太郎さん、田中康夫さん、小沢一郎さん、岡田克也さん、堀江貴文さん、桜井よしこさん、蟹瀬誠一さん、NHKヨーロッパ総局長の大貫康雄さん、そして、同じくNHKの立花孝志さんだ。
NHK予算のからくりも、政治抵抗勢力(野中広務氏など)との癒着も、総務省(郵政省)や大企業との不正も、みんな知っていたことだ。そこに突っ込んでいく「バカ」が現れたので、応援してやろうということだったのだろう。
この記事が掲載された昨夕から、実に多くの人たちから「上杉隆のブランドを落とすことになるからやめた方がいい」とアドバイスをもらった。心から感謝しています。
しかし、もうひとりの「バカ」がここまでやっているのだ。傍観するのはわたしのポリシーに反し、自らの人生をも否定することになる。
立花孝志さんは正直な人物だ。私は彼以上に正直な人間に会ったことがない。彼の姿をみていると、師匠であった故・鳩山邦夫さんを思い出す。
鳩山邦夫ほど頭の切れる人間はいなかった。だが、社会性は皆無だった。これは立花さんにも共通する。
2016年の米国🇺🇸での「トランプ現象」はいまや世界中に広がっている。非エリートとSNSによるルサンチマン的な保守革命とでもいうべき波は、フィリピン🇵🇭、英国🇬🇧、そしていま、日本🇯🇵にやってきたのだ。
MSM(メインストリームメディア)に作られた浅薄な社会性など、天才たちには不要だ。時代の天才たちが社会を変えてゆく。ゆえにトランプも、ドゥテルテも、ボリスジョンソンも、そして立花さんにも、わたしは社会性を求めない。
まもなく幹事長職を受けるだろう。憲政史上、初の純粋な公党の民間人幹事長となるという。それは、立花孝志のためではない。メディア改革のため、社会のため、国民のため、国のために私は働くだろう。
だから、上杉隆は1銭ももらわない(PR業務としてコンサル会社に)。幹事長ポストは手段として得るだけだ。
そもそも、得度してからというもの、渇愛や欲求は消滅しはじめている。透明な心持で、4年後の世界もさらによくみえるようになった。
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